子犬の成長は早く、家に来てちょっと様子を見ている間に、人間の数年分の成長をしてしまいます。人間の子供が成長段階に合わせて健康診断や予防注射、精神的・身体的な成長のためにいろいろな経験をしていくのと同様に、子犬の成長にも健康診断や予防注射、いろいろな経験が必要です。しかも人間の成長が15年くらいかかるのに、犬ではそれをたった数ヶ月でしてしまうのです。ですから、子犬が家に来る前に知っておいていただきたいことがあります。あるいは、子犬をすでに迎えたご家族の場合は今すぐに知っていただかなければなりません。
子犬の成長期に必要なものとして、
① 生後16週をすぎるまでの混合ワクチンプログラム
② 生後4ヶ月程度までの社会化プログラム
③ 成長段階に合わせた健診
④ 不妊手術(特に雌犬)
といったものがあります。またこの他に何かしらの疾患を持っていた場合にはその治療も行わなければなりません。
今は犬を家族に迎えるとき、それが子犬であれば保護団体やペットショップからという方が多いです。そういう場合、家に子犬が来た時点で3ヶ月齢くらいのことが多いでしょう。
健康な子犬は、活動的で好奇心旺盛なことが多いです。毎日ご飯きちんと食べて日々体重が増えていくことが普通です。まずこの段階で気になることがあれば様子を見ないで購入されたペットショップ、あるいは動物病院に相談しましょう。時々見られる問題としては、下痢をしている、食欲がない、耳がかゆい、体重が増えない・・・などといったものです。これらは子犬の場合数日様子を見ただけで悪化していってしまう場合もあります。
ご自宅に来て心配な状態がなければ、1週間ほどで病院につれていきましょう。当院の場合、まずはお話を聞いてから一通り身体検査をして異常がないか確認し、必要に応じて生活環境や食事の内容や回数、その他に必要なご提案ができるようであればさせていただきます。お誕生日から最適なワクチンプログラムのご提案もさせていただきます。
ワクチンが全部きちんと終わると、そこから1〜2ヶ月で歯の生え変わりがはじまります。きちんと必要な歯が生えてきているか、乳歯が抜けきってるかのチェックをし、乳歯が生え変わったら次はそろそろ不妊手術を考えて・・・となります。
不妊手術のメリットはいくつかあり、当院では実施をおすすめしていますが、犬の場合はとくに以下のようなメリットから、生後6ヶ月程度での手術をおすすめします。
雄では・・・
足を上げて排尿するようになる前に不妊手術することで、成長後も足を挙げずに排尿したままになりやすい。これは室内での排尿を教える際にはおすすめです。
雌では・・・
発情回数が少ないほうが高齢になってからの乳腺腫瘍の発生率が抑えられる。特に初回発情前では1/20、初回発情後2回目の発情前で1/10程度という報告があります。
ご自宅に来てからここまで4ヶ月程度の間に、かなりいろいろなことをしなければならないことがおわかりいただけたでしょうか。
それに加えて、子犬が環境や人、その他様々なものに慣れやすい「社会化期」に適切な社会化ができるかどうかで、その子の人生(犬生)を豊かにできるかどうかがほぼ決まります。犬の最適な社会化期は生後4ヶ月程度までと短く、その時期に様々な経験をさせてあげたいのですが、「まだ家に来たばかりだから」「まだワクチンが終わってないから」といった理由でその時期を過ごしてしまう子も多くいます。そうならないためには、お家に来た時からどうしていくかの計画を立てておいて上げる必要があります。せっかく家に迎えた以上、一緒に楽しく散歩したり、お出かけしたりしたいですよね。
また、すでに子犬を家に迎え入れて、これからどうしようかなぁと思っている方がここを見ていたら、できるだけ早くまずは病院に相談をしてください。数週間様子を見ただけで、子犬に必要なことが遅くなるだけでなく時期が悪くてできなくなってしまうこともあります。
子犬のいる生活は楽しいですが、忙しい部分もあります。それも含めて楽しんであげてください。当院では、子犬の健康をご家族と一緒に考えていくためのいろいろな情報提供も行っています。子犬を迎えたら是非当院にご相談ください。