動物病院で行う検査・・・その5 尿検査 | 札幌市清田区の動物病院 すぎうらペットクリニック

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動物病院で行う検査・・・その5 尿検査

尿検査は、人間の病院では健診の際などにほぼ必須で行われていると思うのですが、犬猫ではそうでもないようです。簡単に取れるか、取るのが大変か・・・と言うところが大きいのだと思いますが、この尿検査、なかなか奥が深いものです。

「尿検査なんかしなくても、血液検査すれば大抵のことはわかるんじゃないの?」と思われているかもしれませんが、血液検査では見つからない異常が尿検査では見つかる・・・と言うこともあります。

特に下部尿路(膀胱〜尿道)の異常に関しては、血液検査ではなかなかわからない部分です。膀胱炎や前立腺炎、膀胱結石などは、「赤い尿が出た」とか「トイレに繰り返し行くけど出てない」と言うのはかなり末期的な状態。もっと早い段階から尿には異常が出ていることがほとんどなので、時々尿検査をしてあげれば早く見つけてあげることができます。

また、腎臓の機能についても、血液検査で異常が見られるのは腎臓の機能が正常の1/3〜1/4程度まで低下してからと言われていますが、腎臓が「尿を濃縮する能力」については機能が正常の1/2程度に低下した時から見られるようになります。つまり尿が薄くなるわけです。「尿が薄い」=「腎臓が悪い」と言うわけではありませんが、特別な理由がないのに尿が薄い状態が続くときは腎臓の機能についてもチェックが必要というわけです。

また、腎臓が炎症を起こしているときには尿中のタンパク質が多く出たり、円柱と呼ばれる構造物が出たりする場合があるので、これも定期的にきちんと尿検査をしていれば早い段階で見つけられる場合があります。

尿検査は、「尿を取る」ことができれば痛みもなく場合によっては病院に犬や猫を連れて行かなくてもできる検査です。もっと活用されてもいい検査だと思います。

尿を採取する方法は、犬であれば排尿時にトレイなどでキャッチするのが一番簡単だと思います。できればし始めてちょっとしてからの「中間尿」が取れれば理想的です。

猫でも同様の方法で採取できる場合もありますが、難しいことも多いので、普段使っているトイレをきれいにして、そこでした尿を採取してもらうと比較的簡単だと思います。

 

異常が見られた場合、厳密な検査が必要な場合は膀胱内に貯留している尿を直接採取してすぐに検査をする場合があります。昔は膀胱をお腹の外から圧迫して排尿させることもあったのですが、これをすることで膀胱内の尿が腎臓へ逆流して問題を起こすという報告があり、現在は特別な理由がなければ行われることはなくなりました。

また、カテーテルを尿道から挿入して採取する方法もありますが、尿道を傷つけたり、細菌などを逆に膀胱内に押し込んでしまう原因になることもあるため、必要がない限り行うことはあまりありません。

 

尿の評価をするために一番いいのは、膀胱に針を刺して尿を採取する「膀胱穿刺」という方法です。膀胱はお腹の一番腹側にあるため、ある程度尿が溜まっていればそれほど危険なく採取することができます。世界標準でもそうした採取をして尿検査を行うのが主流です。ただし、膀胱の膨らみ方が小さい場合やじっとしていることが難しいこの場合はこの方法ができません。

当院では普段の尿検査はご自宅で採取できればそうしていただき、異常が見られたり、どうしてもすぐに確認が必要な場合には膀胱穿刺で採尿をするようにしています。

 

皆さんは普段の尿の状態を気にして見られることはありますか?北海道では冬、雪の上を散歩しているときに「尿の色が赤い」ことに気付いて慌てて連れてこられることもあります。雪がない時期には気付きにくい変化なのかもしれません。時々採取するなどして、色や濁り具合、匂いなどを観察してあげられると一番いいですね。

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