先日はプードルのHちゃんの歯周病治療。Hちゃんはまだ９歳ですが、歯周病はなかなか深刻な状態でした。でも痛がってないし、元気だし・・・という段階で、治療については葛藤されていたようですが、これからまだ５年以上の犬の人生を考えて実施を決断してくださいました。
処置前の歯の状態。歯肉が全体に赤く腫れていて、犬歯も臼歯（奥歯）も歯肉が後退して歯の根元が見え始めています。切歯（前歯）のほとんどと臼歯の一部はグラグラしています。
口臭もかなりきついです。口臭の元は口の中の細菌なので、臭いがキツければきついほど細菌がたくさんいると考えて間違いはありません。
下の切歯（前歯）の裏側。歯茎がなくなり歯の根元まで見えてしまっています。もちろんグラグラ。
歯の根元がどうなっているかというと・・・本来は歯を支えているはずの顎の骨も溶けて痩せてしまっています。こうなるともう「歯」の問題じゃなくて「顎の骨」の問題です。
この下顎の大きな臼歯は根本はしっかりしていますが、根本の先端が顎の骨の反対側の皮質骨（一番丈夫なところ）に達しています。それ自体はもともとなので仕方がありませんが、この歯の根元が悪くなると、薄っぺらい下顎の骨が骨折をする原因になります。そうならないようにするためにはきちんと歯磨きをするなど、手入れを怠らないようにするしかありません。
小型犬では時々見られます。
処置後の右上顎。犬歯より後ろのすべての歯を抜歯しています。犬はドッグフードを食べている限りは歯がなくても困ることはありません。むしろはがなくなれば細菌が増える場所を減らすことができますし、上顎の歯周病の進行を食い止めることができます。この部分は歯磨きも必要なくなります。
もちろん残った歯の手入れを怠ると、またその端を抜かなければならなくなるわけですが・・・
下顎の前歯もこの通り。
大掛かりな処置でしたが、口は全く臭わなくなりました。
あと５年この状態を保てるように、頑張って歯磨きをしてくださいね。