小型犬、その中でも短頭種であるチワワやシー・ズーは顎が小さく、その体格の割に歯の数が多く、葉の大きさも体格と比べると大きいと言われています。そのため、歯のトラブルも多いのです。例えば
1.永久歯の本数が足りない(そもそも歯の数が少ない)
2.永久歯があるが生えてきていない(肉眼では確認できないがレントゲンでは確認できる)
3.乳歯が抜けない
この中で、1は問題ないことがほとんどですが、2と3については問題です。
2では、生えずに顎骨の中にある永久歯の影響で嚢胞という袋状の組織ができて顎の骨が溶けてしまう問題が怒ることがあります。これがした顎で起こると、ただでさえ小型犬でペラペラの顎骨が骨折を起こすリスクが高まります。一度できると治療するのも大掛かりで大変です。
3では、抜けない乳歯の影響で永久歯が変な方向に生えてしまったり、かみ合わせに問題が出てしまったりすることがあります。
これらの歯の問題も、6ヶ月頃であれば適切な処置をすることでできるだけ正常に近い状態にしたり、余計なトラブルが出ないようにしたりすることができます。より成長して骨格が固まるとそれが難しくなりますし、上記の嚢胞ができてしまうと大掛かりな治療が必要になります。
実際には「抜けない乳歯を抜く」のは肉眼で確認できる乳歯を抜くのであれば事前に予定を立てて実施することができますが、埋まっている歯を確認するためには顎のレントゲン写真を撮る必要があります。またそこで歯の異常が見つかった場合、その処置は不妊手術より手間と時間がかかります。
当院では生後1歳までの犬・猫では不妊手術の際に口腔内の検査を合わせて実施しています。また「歯が少ない」場合には口腔内のレントゲン検査を行って、歯が「ない」のか「萌出していないけどある」のかを確認するようにしています(1歳までの犬・猫では無料)。これにより愛犬・愛猫の口の中に興味を持ってもらい、成犬・成猫になってから「歯が足りない」となったときに、もともとないのか、抜けたり折れたりしたのかを知ってもらえたらと思っています。
・1歳以上では有料にて上記の口腔内診察およびレントゲン検査を承っております。口腔内の詳細な診察は3,300円、口腔内レントゲン検査は11,000円です(麻酔料が別途必要)。どちらも全身麻酔なしではお受けできません。
不妊手術の際には上記の確認と軽度の処置(事前にわかっている乳歯の抜歯と数本までの未萌出歯の軽処置)は可能ですが、それ以上の処置はできない場合があります。その場合は状況のご説明にとどまり、処置は別途日程や費用のご相談が必要になります。