雌犬では乳腺腫瘍の発生率について、以下のようなことが科学的にわかっています。またメス猫でも同様のことがわかっています。
がんを防ぐのはなかなか難しいのに、不妊手術によってそのリスクが下げられるというのは実に興味深いことです。
これに基づいて当院では、特に雌では生後6ヶ月ごろの不妊手術をおすすめしています。
-
初回発情前に不妊手術をした場合(幼齢での避妊):
-
初回発情前に避妊手術を行った場合、乳腺腫瘍の発生リスクは非常に低くなります。特に6ヶ月齢前に避妊手術を行うことで、乳腺腫瘍のリスクはほぼ0%に近くなるとされています。これは、エストロゲンやプロゲステロンなどのホルモンが乳腺の発達に関与しているため、初回発情前に手術をすることで、乳腺腫瘍の原因となるホルモンの影響を防ぐことができるからです。
-
-
発情後に避妊手術をした場合(初回発情後、2回目の発情前):
-
初回発情後、2回目の発情前に避妊手術を行った場合、乳腺腫瘍のリスクは初回発情前に避妊した場合よりも高くなりますが、それでも避妊手術を行わない場合よりは低いとされています。この時期での避妊手術は、乳腺腫瘍のリスクを大幅に低減しますが、初回発情後のホルモンの影響を完全に避けることはできません。
-
-
避妊手術をしない場合(発情後に避妊を行わない場合):
-
避妊手術を行わない場合、特に複数回発情を迎えた雌犬では、乳腺腫瘍の発生リスクが高くなります。発情を繰り返すことで、乳腺に対するホルモンの影響が長期間続き、乳腺腫瘍の発生率が顕著に増加します。研究によると、発情を1回経験した犬で乳腺腫瘍の発生率が約8%に対して、2回目の発情を迎えると約20%、3回目の発情を迎えると約26%にまで増加することが確認されています。
-