皮膚が弱いワンちゃんが多いですね。アレルギーやアトピーをもっている犬が増えていると言われていますが、人間でも同じようですね。
「痒い」犬はいつも体を舐めたりかじったり。毛が抜けたり傷ついたりしてなんとかしてあげたいですね。
当院に来院する皮膚がかゆい犬の中には、ペットショップやトリミングですすめられたシャンプー(中には「薬用」というものもあるようです)で洗っているけど良くならない・・・という子もいます。シャンプー(たとえ薬用だとしても)にはいろいろな種類があり、すべての犬が同じシャンプーでよくなるというものではありません。人間にも合う・合わないがあるのと一緒ですね。また同じ子でもいつも同じシャンプーがいいかというと、皮膚が敏感なこの場合は季節や皮膚の状態によっても使い分けが必要な場合もあります。
また、「人用のシャンプー」や「人にも犬にも使える石鹸(なんてものもある)」で洗うという話も聞きます。皮膚が丈夫で「何で洗っても平気」という子も確かにいますが、逆にそのせいで悪化してしまう子も結構います。犬の皮膚は人間の皮膚より弱く、皮膚表面の性状も違うと言われています。ぜひやめていただきたいことの一つです。
基本的には皮膚が悪い子にシャンプーを選ぶ場合は、皮膚の表面の状態を顕微鏡で観察したりしてきちんと病状を確認して選びます。そしてシャンプーは種類だけでなくその使い方も大切で、「そのシャンプーを使いさえすればいい」ということはありません。他の病院でシャンプーをもらって洗っているという子も、お話を聞くと洗い方がそのシャンプーの使い方にあっていないばあいもあります。そもそもシャンプーを出してもらっていてもきちんと使い方の説明を受けていない場合もあるようです。「病院で薬用シャンプーをもらっているのに改善がない」という場合には、きちんとその使い方も確認してみるといいでしょう。
昔は「皮膚が痒い」となると「薬でかゆみをとる」というのが一般的でした。しかし皮膚病の原因にアトピーやアレルギーが多いことが分かってきている現在、皮膚のかゆみは「一生付き合っていなかければならない問題」になっています。そのためには、きちんとかゆみの原因を調べ、できるだけ薬に頼らずにシャンプーや保湿と行ったスキンケアを行い、長期間できるだけいい状態を保つような皮膚の管理ができるかどうかが、痒みの少ない生涯を過ごすためには必要だということが分かってきています。
皮膚病で苦労しているワンちゃんとそのご家族が、少しでも快適に過ごすことができるようになることを願っています。