雄と雌の同居 | 札幌市清田区の動物病院 すぎうらペットクリニック

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Informationいぬとねこのための情報

雄と雌の同居

「気付いたら交尾しているがどうしたらいい?」という電話があった。不妊手術をしていない雄と雌を一緒に飼っていれば、当然起こりえる事態で、始まってしまったものを途中でやめさせることは難しいですね。

基本的に当院では、すべての犬・猫に去勢と避妊をすすめています。家庭の一員としてみた場合、去勢/避妊をした方がメリットが多いからと考えるからですが、そうはいっても簡単に決断できることではないため、ご家族の判断に最終的にはゆだねられることになります。

しかし、同じ家で雄と雌を飼っている場合は別です。「発情が始まったら別々にしている」という方もいますが、発情の来ている雌に対して雄は普段と違ってかなり興味を示し、かんたんな柵など飛び越えたり壊したりしてしまいます。部屋の扉を壊しちゃったというラブラドール・レトリーバーの話を聞いたこともあります。またちょっと油断すればすぐに走って行ってしまうでしょう。もし実際にそれができなくても、そうしたい衝動に駆られながらも行くことのできない雄にはものすごいストレスです。それを年2回。別々に分けた状態を管理する人間が大変なら、犬も大変です。

また、「せっかく雌を飼っているのだから一度は子供を生ませてみたい」という話を聞くこともあります。
でも、雌犬にとって妊娠して子供を出産するというのはものすごく大変なことです。
犬は安産と言うイメージがありますが、チワワなど超小型犬では難産も珍しくなく、手術して仔犬を取り出さなければならないこともあります。当然母犬の生命は危険にさらされ、場合によっては助からないこともあります。

「2ヶ月くらい前に交尾していて、もうじき生まれそう」といって突然来院される方もいらっしゃいます。
たいてい実際はいつ交尾したかが分からず、出産予定日が計算できず、どうなるかハラハラすることになります。

本来、交配させる前には両親犬に遺伝するような疾患がないかどうかの確認が必要です。身体検査の他、犬種によっては血液検査で遺伝疾患の一部を調べることができます。その後交配し、妊娠しているのであればそれを確認し、母犬の体の変化に合わせて環境や食事を変えてやり、出産に備えるという必要があります。放っておいていつの間にか生まれている・・・というものではありません。

犬が交尾してから出産まで約60日。だいたい30日頃には超音波診断装置で胎児の心臓の拍動が分かるようになり、妊娠が確認できます。55日目頃には再度超音波診断装置で胎児の心臓がきちんと動いていることの確認と、レントゲン検査で胎児の正確な数と大きさ、母犬の骨盤を通過することができるかどうかをしっかり確認し、出産に備えます。この頃には出産前後にどのようなことが起こり、飼い主として何をしなければならないか、万が一生まれそうで生まれないときはどうしたらいいかについてきちんと考えておく必要があります。

実際に仔犬誕生の瞬間は感動的ですばらしいものです。
でも私は、家族の一員として一匹の犬を迎え、その子を本当に可愛がりたいのであれば、数を増やすよりもその子に正しい愛情を注いであげてほしいと思うのです。
それができて初めて、もう一匹を飼うかどうするかを考えられるのではないでしょうか。

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