愛犬・愛猫を亡くされたかたから連絡をいただくこともあるのですが、「火葬した際に頭の骨が黒くなっていたからここに病気があったんだと言われた」とか、「足の付根に燃え残りがあったからここが悪かったんだねと言われた」といった話を聞くことがあります。
そんなおまじないみたいに、火葬場での焼け方で死因がわかるはずがないのですが、大切な家族の一因を亡くして悲しんでいるときにそう言われるとその後もずっと気になってしまって・・・という方もいます。
そもそも病気になった患部が周囲の健常な部位と焼け方が違うほどの変化があれば、相当腫れていたり変形していたりといったことがわかるはずで、そうでもないのに焼け方が違うのは火葬の際の火力や火のあたり具合でしょう。大型犬から小型犬や猫まで、体の大きさは様々ですし、太っているか痩せているか、高齢かそうではないかなど、条件の違いによってどんな場合でもきれいに火葬してあげるのが腕の見せ所なのであって、焼いた後の状態から生前の状態を推測することはできませんし、してほしくありません。
獣医師としては、生前ご家族とともに病気と戦ってきて最後を迎えたのに、見当違いのことを言われるとがっくりします。これはご家族の責任ではなく、焼き場の方にお願いするしかありませんね。