子宮蓄膿症 | 札幌市清田区の動物病院 すぎうらペットクリニック

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子宮蓄膿症

先日来院したシュナウザーのMちゃん。

3日前から食欲がないとお電話があったのですが、つごうがあわずすぐにつれてこれないということで実際に診察に至ったのは食欲がなくなってもう5日以上経過してからでした。

Mちゃんは13歳。不妊手術を受けたことがないとのことでした。もう5日間もほとんど何も食べていないということ、変にお腹が張っていること、元気が無いことなどからすぐに詳しい検査をしたところ、子宮蓄膿症による敗血症を引き起こしていることがわかりました。

Mちゃんのご家族の同意があったため、すぐに入院して治療を開始。重度の敗血症の状態でしたが、体調が少し持ち直したところで手術に踏み切りました。子宮は大きく膨れて、中には大量の膿が貯留していました。


子宮蓄膿症ではいくら内科的に治療を行っても子宮内の細菌感染がなくならない限り完治には至りません。手術で卵巣・子宮を摘出後、適切な抗生物質の投与、点滴、その他の支持療法を行うことで治療を目指しますが、進行した敗血症は様々な臓器障害や問題を起こして残念ながら救命できないこともあります。

Mちゃんは術後もしばらく状態がよくありませんでしたが、ようやく自分で食事を摂ることができるようになり、少し元気になってきました。このまま状態が回復すれば、無事におうちに帰ることができそうです。

 

子宮蓄膿症は、発情を繰り返すうちに子宮の壁が徐々に変性して細菌感染を起こしやすくなることでおこります。特に発情期に感染リスクが高く、発情後から2ヶ月位の間に発症することがほとんどです。犬や猫では生涯発情が無くなることがないため、歳を取れば取るほどどんどんリスクが高くなっていく嫌な病気です。

当院では生後半年〜1年程度の間の不妊手術をおすすめしており、この不妊手術によって子宮蓄膿症を完全に予防することができます。不妊手術をしないまま7〜8歳をすぎるとリスクが高くなるため、きちんと発情出血の時期を確認して体調の変化に気をつけて上げる必要がありますが、病院にいらっしゃった際に「発情出血はいつありましたか?」とお伺いしても「いつだったかなぁ・・・・」とはっきりわからないことがとても多いのですが、ちゃんと把握しておいてあげることをおすすめします。

 

子宮蓄膿症は敗血症や多臓器不全を引き起こす恐ろしい病気です。ある程度進行すると手術のリスクも高く、しかも高齢で他の疾患も併発していると手術自体ができない場合もあります。不妊手術で確実に防ぐことのできる病気で命を失うのはとても残念なものです。「もう高齢だから」ではなく、高齢になってきたからこそ少しでも健康なうちに病気にならないような対策を考えて上げる必要があるでしょう。

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