暖かくなるに従って、皮膚が痒くて来院する子が増えました。ここのところ続けて「他の病院で皮膚が痒くて痒み止めを飲んでいるけど治らない」と言って初めて当院に来院する子がいました。
いろいろ話をしてみると、皮膚が痒くて通院していても皮膚の検査はしたことがない。血液検査もしたことがない。「この薬は副作用がないから」ということでとりあえず薬が出ていたりします。中には「痒がってトリミングができないからとりあえずこの薬を飲ませて」という感じで薬を飲んでいたという子もいました。
私は、皮膚がかゆくなる病気にはいろいろな病気があって、その原因を調べたり、治せるものを治療したりして最終的にコントロールできないかゆみを薬で治療するのが一番いいんじゃないかと思っているのですが、「とりあえず痒みを取る」というところに充填を当てると他にもいろいろなアプローチがあります。病院に連れていらっしゃるご家族の中には「まどろっこしいことはいらないからとりあえず痒み止めをくれ」という方もいて、そうじゃなくて・・・といろいろ説明をすると面倒臭がられてしまう場合もあります。
皮膚のかゆみは山火事みたいなもので、火を消すには１．燃えるものをなくしたうえで（原因を取り除く）、２．水をかける というのが手順だと思いますが、場合によっては皮膚に悪いこと（栄養学的に間違った食生活、不適切なスキンケア、原因疾患の鑑別・除去ができていないなど）をしながら痒みだけなんとかしようとすることになって、火に油を注ぎながら水をかける・・・といった矛盾した状態になってしまっている場合もあります。
どんな病気もそうですが、きちんと原因を調べて、その原因が取り除けるなら取り除く、取り除けないなら改善するための努力をするというのが正しい道筋です。時間がかかっても、できるだけ病気の根本に近いところから改善できるようにがんばりましょう。