今回の癌学会でも、話題の1つに歯周病とがんの関係が出ていました。とはいっても、歯周病ががんの原因になると言う話ではありません。抗がん剤を用いたがん治療の際に、歯周病が細菌感染の原因になるリスクがあるのではないかと言う議論でした。
口の中には、便の中よりも大量の細菌がいるそうですよ。
人の医療では、大きな手術や抗がん剤治療の前に虫歯を抜くなど歯の治療がまず行われるそうです。口の中に歯周病や虫歯があることで大量の細菌が入ることになり、それがいろいろな治療で抵抗力が弱くなったときに問題を起こすためのようです。
犬や猫でももちろん同様に歯周病が問題となる可能性があります。残念ながら犬や猫の歯周病治療にはそれ自体に全身麻酔が必要になることもあり、がんで体調が悪い時に積極的に歯周病の治療するのはなかなか結難しいところもあります。
当院では、がんではない理由で手術をする場合など、その時点で体調が悪くない場合には、手術に先立って全身麻酔下で口腔内の治療を行い、それから少し期間をあけて本来の手術をすることもあります。
抗がん剤治療が行われる際などに、歯周病があるために本来行いたい治療レベルを下げなければならないことが起きるかもしれません。そうならないためにも、普段からの口腔内のホームケア、必要に応じた病院での麻酔下でのプロフェッショナルケアをきちんと行っておきましょう。