脾臓の腫瘤 | 札幌市清田区の動物病院 すぎうらペットクリニック

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脾臓の腫瘤

今回手術をしたのはビーグルのSくん。

Sくんは10歳になるビーグル犬。とっても元気であまり病気もしたことがありませんでしたが、ご家族が毎年健診を受けてくれていました。今年の春の健診の際に、Sちゃんはほぼ全て正常な検査結果でしたが、一つだけ「血小板」という検査項目が前回の検査の半分になっていました。ちなみにこの血小板、当院の検査機器での基準値は148,000〜484,000個/μl。前回の検査値は314,000で今回は190,000。何も考えずに検査結果を見ると、特に異常な数値ではありませんが、前回の検査結果から見ると激減しています。

 

もう一つ、当院の検査機器では、血液検査で「有核赤血球の可能性」が示唆され、実際の血液を顕微鏡で観察すると通常出現するはずのない有核赤血球が出現していました。。有核赤血球は赤血球再生が盛んに行われているという指標です。特に貧血がないのに有核赤血球がでているというのは何らかの以上を示している可能性があります。

もちろんSちゃんは前回の検査のときも今回の検査のときもとっても元気で、普段の様子から病気を疑う所見はありません。しかし上記の事からご家族にレントゲン検査やエコー検査で体内の異常の検査をしたほうが良さそうだということをご説明し、ご家族もすぐに検査に同意していただけました。

 

検査すると、Sちゃんのお腹の中にしこりが見つかりました。しこりは10kgのSちゃんに対して直径5cm程はある大きめなものでしたが、肋骨のある部位にあったため外からの触診では見つかりませんでした。しこりを詳しく調べるとどうやら脾臓の一部であることが確認できました。

 

 

脾臓にしこりが見つかると、その2/3は悪性腫瘍であると言われてい

ます。また1/3は悪性ではありませんが、いずれにせよ大きくなると破裂してお腹の中で大出血を起こし、死亡する原因となります。一般的には1cmを超えると破裂のリスクが高くなると言われており、Sちゃんの「5cm」は、よく破裂せずに頑張っていてくれたなぁ・・・という大きさです。

 

Sちゃんは無事に手術で脾臓の摘出を終えました。摘出した脾臓は検査をして悪性腫瘍かどうかの確認の結果が出るまでには少し時間を要しますが、幸い腹腔内はそれ以外に異常なところは見られず、Sちゃんの麻酔からの覚醒も良好でした。

 

元気に見えても健診からこうしたしこりの発見に至ることもあります。お腹の中で破裂してからでは助からなかったかもしれないと思うと、いいタイミングで健診をすることができて本当に良かったですね。

 

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