病院の休診日は日曜日。日曜日は獣医師向けの勉強会やセミナーが多数あります。開業した頃は札幌近郊で獣医師向けのセミナーは年数回あればいい方でしたが、今は毎週のように行われ、その内容も様々。
人間の病院は「耳鼻科」や「皮膚科」など、科を限定したところが多いですが、動物病院は基本的にはそうしたところがありません。動物病院で表向きに「○☓科」という表記は、一部を覗いてできないようになっているためです。とはいえ、獣医師一人で歯科から眼科、内科、外科、美容整形のような内容に至るまで、様々な分野をすべて完璧に網羅するのはなかなか難しいものです。その上、獣医師によっては犬や猫だけではなくうさぎやフェレット、鳥などの診察をする場合もあります。犬と猫だけでもそれはもう全く別の生き物で同じように扱うことができないのに、その他の動物まで含めたら人間の病気以上にたくさんの病気を考えなければならなくなります。
そんなわけで、多くの場合それぞれの獣医師には「専門」と言うまでは行かないものの「好きな分野」というのはあるのではないかと思います。たくさん増えすぎた勉強会やセミナーの中から、自分の興味のあるものを選択して参加することで、より興味を深めてその分野を「好き」になっていけます。
先日のセミナーは「獣医歯科学」のセミナー。本州から第一人者の先生が来てくれて、朝から夜までびっちり約９時間。それこそ昼ごはんを食べる時間も惜しんでたくさん話しをしていただきました。当院に来院する犬の中でも歯周病は最も罹患率の高い病気の一つ。最近はだいぶ予防歯科の考え方が根付いてきて、ご家庭での歯磨きを頑張っていたり、定期的な病院での歯周病ケアを受けていただいたりできるようになりましたが、なかなかそれができなくて口臭に悩まされたり、口腔内細菌による敗血症を起こしたり、顎の骨が溶けて口と鼻が穴でつながっちゃったりする子が絶えません。犬と接する上で口なんて一番近くにあるのに、なかなかしっかり見たりケアしたりしてあげられないところのようです。
診断法、治療法についてはこれまでの確認をすると同時に、もうちょっと工夫することでより良く出来そうな知識なども聞くことができたのでとても有意義な一日でした。一日頭を使って心地良い疲労を感じながら帰ってきました。
