身体検査で「歯が折れている」のが見つかることがあります。「歯が折れているのに痛くないの?」って不思議ですが、犬は意外と痛がりません。痛くてご飯が食べられなくなると命にかかわるからだと思われますが、歯の根元の神経が人より細いそうです。
犬の歯の構造は人とは違い、ものをすりつぶすようにできていません。上下の歯が噛み合わないのです。しかし一箇所だけ犬の歯が噛み合う場所があります。それが奥の方に見える大きい歯、上顎の第4前臼歯と下顎の第1後臼歯です。
この上顎の第4前臼歯が斜めに欠けてしまうことがとても多いのです。
この部分、犬は硬いものや大きいものを小さく噛み切るために使います。そのため噛み合うと行っても人間の歯とは違い、ハサミのように上下の歯が斜めに噛み合います。このときに硬いものを噛むとどうなるか・・・
このような場所に硬いものが挟まると、上あごの歯が外へ強く圧迫され、その際に剥離するように斜めに割れてしまいます。
こうした折れ方をするのは、顎の力の強い中型犬〜大型犬に多いと言われていますが、ダックスフントなどでもよく見られます。
多くの場合、硬いものは「歯にいいだろう」ということで与えられることが多く、実際にペットショップなどでも「蹄」は「骨」が売られていたりします。しかしこうしたもので歯がかけてしまうことが非常に多いのです。せっかく歯のためにあげたのに、歯がかけてしまっては意味がありませんね・・・。
予防するためには、硬いものを挙げないようにすること。どのくらいならいいのかというのは難しいところではありますが、一説では「人の爪を押し付けたときにその跡が付くくらいのものがいい」などと言われていますので、試してみてはいかがでしょうか。
歯が折れた直後であれば、きちんとした治療をすることで歯を温存できる場合もありますが、「いつ折れたかわからない」場合は折れ具合にもよりますが抜歯しなければならないことも多くみられます。毎日口の中をチェックしてあげると、少なくとも早く見つけることはできるはずです。