「病院」というと「病気になったら行くところ」と思われているかもしれません。しかし動物病院にも様々な形態があります。ヒトの病院がクリニックから総合病院まであるように、動物病院にもクリニックから単科の専門病院あるいは特化した分野を持つ病院、そして大学病院まで、様々な動物病院があります。特に当院のような一次診療を担う動物病院は、病気の診断・治療はもちろんのこと、「審美・矯正」や「保険外診療」、さらには「食事・生活相談」など、病気とは言えないことのすべてを含めて、まず最初にご相談いただけるようなところです。普段から動物病院を利用していただくと、その子の情報がカルテの中に蓄積していきます。「人間」と言っても様々あるように、「チワワ」や「ダックスフント」にも体格から性格まで様々あります。そうした事も含めて情報を蓄積しておくことが、いざというときに役に立つことは意外と知られていないかもしれません。
「健康に見える」のと「本当に健康」なのとは違います。その「健康に見える」ときから病院で定期的に検診を受けることで、ご自宅で病気に気づくよりもっと前の、いわゆる「未病」の段階、まだ症状はないけど「健康な状態から少し病気側にシフトし始めた段階」で病気を見つけ、症状が出ないように治療をコントロールすることを人では「先制医療」と呼んだりします。
犬や猫でも、その子その子の健康時の状態をきちんと把握しておけば、「明らかに病気の状態」ではないけれど「この子にしてはおかしい」という段階で変化を捉え、予防的な治療を行うことで病気の芽を摘むことができます。病気になってからのことはもちろん大切ですが、「いかにして病気にならないようにするか」を一緒に考えて、実践していけるといいですね。
一年に一度しか合わなければ、なかなかその子の本来の姿を知ることはできません。何度も顔を合わせ、病院スタッフと家族、病院スタッフとワンちゃんやネコちゃんが顔見知りになっておくと、「今日はちょっと様子が違うぞ」ということに気づきやすくなります。そうした積み重ねでできるだけ病気を防ぐことで、元気で長い気ができるようになります。
病気の予防が「ワクチン」「フィラリア」という時代はもう終わっています。その他、たくさんのことが、きちんとした健康管理で予防できます。