湿度や気温が上がるこの時期、皮膚病で来院する犬が増えます。先日も「おしりを痒がっている」という子が来院しましたが、診察をしてみるとおしりではなく内股が広範囲に皮膚炎を起こしていた・・・ということがありました。
犬には定期的に毛を刈る「トリミング」が必要な犬種と、そうではない犬種があります。
トリミングが必要ない犬種の場合、定期的にプロにシャンプーをしてもらったり被毛を整えてもらったりしている子もいますし、自宅でシャンプーをしているという子もいます。どちらでも構いませんが、シャンプーの頻度は最低でも月1回はしてあげたいものです。できれば月2回。特に夏場湿度が上がると、犬の被毛もベタベタしやすいので、シャンプーの頻度を冬より増やしてあげたほうがいい場合もあります。皮膚病のいくらかはそれだけでも防ぐことができます。
トリミングが必要な犬種の場合、ご自宅でトリミングができるという場合を除いてはプロに定期的にやってもらうことになりますが、これも月1回程度できるといいでしょう。そしてその間に自宅で1〜2回は洗ってあげるようにしましょう。カットするデザインや被毛の長さ・短さは、自宅で毎日ブラッシングをしてあげられるか挙げられないか、シャンプーに時間をかけられるかどうかによって決めてもいいと思います。優雅なふわふわの長い毛を保つには、それなりに毎日のお手入れが欠かせません。お手入れできないのに毛を長くしておくと、毛玉ができてしまったり、その毛玉を無理に取ろうとした結果ブラッシングが嫌いになってしまったりします。
「犬のシャンプーの仕方」をちゃんと学ぶ機会も少ないかも知れません。なんとなく人間のシャンプーのイメージで洗いがちで、多くの場合はそれで問題が出ないかも知れません。しかし犬の皮膚は実は人間よりもずっと繊細で薄く、お手入れの仕方一つで状態が悪化する場合もあります。シャンプーの選び方、洗い方にもきちんとしたコツがあります。
まず、犬には犬のシャンプーを用意しましょう。人のシャンプーは犬には刺激が強いですし、人の石鹸やシャンプーで「犬でも洗えます」というものもあるようですが、やはり専用のものには叶いません。「洗える」のと「適している」のは違います。
リンスインシャンプーのような手軽なものもありますが、汚れを落とすためのシャンプーと、保湿成分を毛に残すためのリンスを同時にするのはあまりいいことではありません。できれば別々になっているものを使いましょう。
犬の皮膚にも様々なタイプがあります。できればいろいろな種類のシャンプーで1〜2回洗ってみて一番合うものを選んであげたいものです。また一度会うと思ったシャンプーが「年中」「一生」同じもので合うかどうかはわかりません。夏と冬でシャンプーを変えてあげる必要がある場合もあります。
市販のシャンプーは一般的には「被毛」をきれいに保つためのものです。皮膚に問題のない犬であれば基本的には問題はありませんが、「皮膚」の状態を良くするためにはそれとは違うものが必要です。当院では皮膚の状態に合わせた薬用シャンプーを数種類用意して、その子の皮膚の状態に合わせて処方するようにしています。もちろん普段遣いできるシャンプーでも、皮膚への刺激が少なくいい状態に保つためのものがあります。
洗い方にも皮膚をいい状態に保つためのコツがあります。せっかく洗うのであれば、洗うことで少しでも皮膚が健康になるような方法で洗ってあげていただきたいものです。
ご来院の際に、シャンプーや洗い方についてご相談ください。シャンプーは小分けにしたお試しサイズもありますので、何度か洗ってみて皮膚に合うかどうかを試してからご購入いただくこともできます。毎日のご自宅でのお手入れで、健康な皮膚を保ちましょう。