猫の糖尿病 | 札幌市清田区の動物病院 すぎうらペットクリニック

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猫の糖尿病

猫の糖尿病は大きく分けると二種類あります。一つはヒトで2型糖尿病と呼ばれるものと類似しているもの、もう一つは他の病気が原因となって起こるもので、特に後者の「二次性糖尿病」が猫では多く見られます(ヒトでは少ないようです)。

 

糖尿病の最初の症状は「尿がたくさん出て」「その分水をたくさん飲む」です。その段階で「あれ?おかしいぞ」と病院へ連れてきて頂いて糖尿病と診断できると、特に入院などを必要とせずに治療を開始することができます。しかしこの時期を「まあいいか」と様子を見てしまうと、だんだん痩せてきてそのうち食欲が低下して・・・ケトアシドーシスや高浸透圧性昏睡といった重篤な状態になってから病院に来ることになります。こうなるとまずまともに食べられる状態にするまでに最低数日から1〜2週間に渡る厳密な管理のための入院が必要になることもあり、猫も大変ですが我々も大変なことになります(寝られない日が続きます・・・)。「変だな」と思ったらぜひ早く連れてきていただきたいものです。

 

一つ目のヒトの2型糖尿病に類似しているものは多くの場合肥満の猫で見られます。去勢した雄猫に多いと言われていますが、去勢が悪いわけじゃなくてその後の体重管理不十分による肥満が原因です。脂肪によりインシュリンの効き目が悪くなり、体が頑張ってインシュリンをどんどん作っていくうちに膵臓内のインシュリン産生細胞にアミロイドが沈着して、最終的にはインシュリンの産生ができなくなってしまうというもの。ヒトでは糖尿病は「予備軍」に始まり、食事管理や経口血糖下降薬といったお薬が効く段階を経て、最後はインシュリンの注射が必要になりますが、そこへ至るまでいろいろな手立てがあります。しかし猫では症状が見られたときにはすでに膵臓からのインシュリン産生能力がかなり低下してしまっていて、経口血糖下降薬は全く効果が期待できません。時々他の病院で「糖尿病」と診断されたというご家族から「経口血糖治療薬は使えないのか?」という相談を受けますが、それは無理です。それなら少しでも早く注射を使った治療を開始してあげるほうが、ずっと体のためになるでしょう。

 

もう一つ、基礎疾患のある子で見られる二次性の糖尿病は、その基礎疾患がきちんとコントロールできるかどうかにより変わってきます。基礎疾患としてよく見られるのは膵炎や副腎皮質機能亢進症、ステロイド剤の投与によるものです。ですから、糖尿病と診断をする際にはこれらの基礎疾患があるのかないのかをきちんと調べる必要があり、基礎疾患があった場合はそれをなんとか治療しなければなりません。これができるかどうかによって糖尿病の治療がうまくいくかどうかが変わります。

 

糖尿病は上手くコントロールをしてあげることで、何年もいい状態を保つことができる場合も多い病気です。しかしそのためにはご家族の協力が欠かせません。異常に気づいたら早く連れてきてくださいね。

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