人では、歯周病をコントロールして80歳で20本の歯が残ることを目指すことで、健康寿命が伸びることがわかっています。
犬でも同じことが言えます。歯周病が心臓病や腎臓病、肺炎などの原因になることがわかっています。当院では適切な歯周病管理による生活の質の向上をお勧めしています。
先日は、歯周病治療のために全身麻酔での処置を予定している方から、近所の人に「犬にそんなのいらないんじゃないの」とか、「うちの犬は麻酔をしてから具合が悪くなった」といったことを言われるので不安になると言う相談を受けました。
麻酔をする理由も、その時の健康状態も違うのに、きちんとした治療の妨げになるような無責任なアドバイス?は困りますね。実際に当院に来院するこの中には、
・口臭がひどくなんとかしたいがすでに心臓の状態が悪くなってしまっており、麻酔を安全にすることが難しくなってしまっている
・歯根膿瘍からくしゃみが止まらず、家の中で鼻血まじりのくしゃみを常時していて、家の中が大変なことになっている
・歯周病から下顎骨が骨折してしまい食事が採れなくなってしまっている
といった子もいます。残念ながら中には、つい数ヶ月の間に「全身麻酔下で処置をしているのに・・・」ということもあります。きちんと歯の状態の評価をし、麻酔リスクを評価した上で、どういう処置をどういうふうにしてあげるといいのかをきちんと検討してから処置を行わないと、不幸なことになります。
口の健康を保つことは、体の健康を保つためには大切なことです。変な情報に惑わされないように、心配なことがあればいつでもご相談ください。
歯周病が進行すると下顎が骨折してしまうこともあります。こうなってからでは手遅れです。