猫の泌尿器疾患 | 札幌市清田区の動物病院 すぎうらペットクリニック

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猫の泌尿器疾患

気温が下がってくると、猫の泌尿器疾患が増えてきます。泌尿器疾患には慢性腎臓病、尿管結石、膀胱結石や膀胱炎といったものが含まれますが、この時期に特に多いのは「膀胱炎」です。

膀胱炎は文字通り膀胱内で炎症が起こること。初期にはあまり目立った症状はありませんが、普段よりもちょっと排尿回数が多いとか、排尿にかかる時間が長いとか、その程度の症状が見られているはずです。この段階で症状に気付いて病院へ連れてきていただけることはほとんどなく、タイミングよく尿検査をその時期にしたりすると見つかります。

症状が進むと明らかに排尿時の異常が見られたり「トイレ以外での排尿」をするようになったりします。この辺りで血尿が見られることもあります。人間では血尿が出るとなったら相当膀胱炎の症状を我慢したときだそうですが、猫は我慢したくてしているわけでなく、ご家族が気づかなかったり、気付いていても重要視されていない(ご飯も食べてるし・・・みたいな)場合に、いよいよ血尿が出てようやく「これは大変」と病院へ連れてきてもらえることも多いのが現状です。

膀胱炎になる原因として多いのは「尿路結石症」「細菌性膀胱炎」「膀胱腫瘍」そして「特発性膀胱炎」です。

「尿路結石症」は尿中のミネラル分が析出して結石を作る病気。食事中のミネラルの量、体質、尿の濃さなどが関連して出来やすくなると言われています。最近は市販のフードでも「尿石に配慮しています」というフードがありますが、そもそもいろいろな種類のミネラルが関与している結石を100%予防することは難しく、こちらの結石を予防しようとすると他の結石ができる・・・といったことも生じます。そのため、「どんな種類の石を予防したいのか」によってフードを選択する必要があります。また尿石予防を謳う食事の中には他の疾患のあるときには使えないもの(例えば心臓疾患や腎疾患)もあります。そのため「一生そのフードを食べていれば安心」なのではなく、定期的に健診を受けるなどして「そのフードを食べ続けても大丈夫なのか」をきちんとチェックすることが必要です。

最近は病院で病状に合わせた最適なフードをおすすめした後、ネットで購入してそのフードを何年も続けている・・・という方もいらっしゃいますが、そういう場合も「今もそのフードを食べ続けている」ことをお教えいただき、せめて年に数回は病院につれてきて様子を見せていただければと思っています。

 

もう一つ、猫でよく見られる膀胱炎には「特発性膀胱炎」があります。特発性膀胱炎と呼ばれていますが、本当のところはっきりした原因はわかっていません。しかし最近は「ストレス」が強く影響していると言われていて、猫の生活環境を整えることで予防できることがわかってきています。特発性膀胱炎の原因となる猫のストレスに関係するものには以下のものが言われています。

・生活環境に他の猫がいること・・・猫は本来一つの縄張りに一匹という状態が一番いいそうです。仲がよく見えても同じ空間に他の猫がいることはストレスなのだとか。多頭飼育の場合は、それぞれの猫に落ち着けるスペースをあげられるように、猫が入れる個別のスペースをたくさん用意してあげるなどの工夫をする必要があります。

・トイレが少ない・・・トイレの数は猫の数+1がいいようです。

・トイレが小さい・・・猫は広いトイレが好き。トイレの縁に足をかけたり、半身を乗り出してトイレをしているのは「トイレが狭い!」というアピールなんだそうです。
猫にとってトイレはとても大切なものなのです。

引っ越し、模様替え、家族が増える・・・など、様々なことをきっかけに特発性膀胱炎が起こります。「庭に野良猫が来たら」という猫ちゃんもいました。この場合は外が見えないように窓に目隠し用のシートを張ったら膀胱炎にならなくなりました。

 

喋らない猫のストレスを汲み取って、快適な生活環境を作ってあげるようにしましょう。

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