歯磨きは家ではできないので、トリミングのときにしてもらっています・・・という方が時々いらっしゃいます。
トリミングのついでに、一回500円〜1000円で歯磨きをしてくれるのだそうです。
一回あたりの費用としてはそれほど高くないでしょうか?トリミング費用に含めて考えるとそれほど気にならないからでしょうか。意外と多くの方がされているようです。
しかし、トリミングに行くのは、とても頻繁に行かれるという方で月に2回。きっちり月1回行かれていればいいほうですが、1ヶ月半〜2ヶ月に一回程度という方が多いのではないでしょうか。最近はCOVID-19の影響か、トリミングの予約もなかなか取るのが難しいとおっしゃられる方もいらっしゃいましたので、そうするともっと間が空いてしまうかもしれませんね。
歯磨きの目的は「歯石の付着を阻止すること」「歯周ポケット内の細菌増殖を減らすこと」です。しかし月に1〜2回の歯磨きでは、その直後はなんとなく匂いも減ってスッキリするかもしれませんが、実際にはこのどちらも達成することはできません。なぜなら、犬の歯垢は3日程度で歯石になるため、そして歯磨きして口腔内の細菌が減ったとしても、半日もあればその細菌の数はもとに戻っってしまうからです。
ですから、きちんと効果的な歯磨きをするためには毎日の歯磨きが大切なのです。
毎日歯磨きをしてもらった場合、500円×365日で182,500円かかります。それだけ手間暇がかかるものだということです。これだけの価値があると考えて一生懸命磨いてあげてはどうでしょうか。
とはいえ、磨くのが難しい性格の子や、毎日やっている時間がないということもあるでしょう。
歯周病を防ぐもう一つの方法は、定期的に全身麻酔下で徹底的な口腔内の処置をすることです。年1回きちんと処置をすることで寿命が伸びたり、病気を防ぐことができるということがわかっています。ご自宅での歯磨きで難しい歯の裏側や奥まできれいにすることができます。また、全身麻酔下での処置の前に口腔内の診察をしたり、歯や顎の骨のレントゲン写真を撮影することで、目に見えない部分の歯の状態も知ることができます。見えない部分で歯が曲がっていたり、顎の骨が溶けていたりするなんてこと、想像がつきますか??
きちんとした手術前の全身状態の評価をした上で、全身麻酔下での口腔内の診察、歯のレントゲン検査、歯石取りや歯周病治療、歯石付着予防のポリッシングまでを行った場合、上記の一年間の歯磨きに匹敵する182,500円あれば、ある程度歯周病が進行していて抜歯や口腔内外科処置、その後の入院や鎮痛処置をフルに行ったとしても当院ではお釣りが出る程度の費用のことがほとんどです(ほとんどの場合、1年に1回の処置をされている方はそれほどひどい歯周病にはなりませんので、ここまでの費用はかかりません)。
毎日歯磨きは難しい・・・あるいはより完璧な口腔内環境の維持を希望される方には、はじめから定期的に処置をしてあげるつもりで計画をしておいてあげるのいいと思います。
もちろん、ご自宅での歯磨きを組み合わせることで、全身麻酔下でのケアを2年に一回、あるいは3年に一回程度まで減らすことができる場合もあります。
高齢になったときに歯周病やそれに起因する様々な問題に悩まされないように、若いうちから適切なケアをしてあげるようにしましょう。ご自宅で難しい場合は当院へご相談ください。
こんな事にならないようにね・・・