この他に当院では、全身麻酔前にいろいろな検査を行います。麻酔をかける予定の子の年齢や基礎疾患などに応じて健診のメニューをいろいろ用意しています。
血液検査
基本的には麻酔前に全ての子に血液検査を受けていただきます。全般的な検査が主ですが、手術の場合は出血してもきちんと血が止まるかどうかとか、高齢な子では甲状腺機能などについても評価します。人間と同様細い針を血管に刺して採血を行いますのでチクッとはしますが、多くの子では我慢ができる範疇ですし、きちんと当院のスタッフが保定をした上で安全に採血を行いますのでご安心ください。
レントゲン検査
胸部レントゲン検査は全ての全身麻酔の前に実施します。普段の健康状態に問題ないように見えて、胸腔内や肺に異常がある子がしばしばいます。また中年齢以降の場合や何らかの基礎疾患を持っている場合にはこれに加えて腹部のレントゲン検査も行います。健康と思っていた子に何らかの異常が見つかる場合も多くあります。
レントゲン検査は専用の台の上によこや仰向けに寝かせて撮影を行います。もちろん人間のように自分でまっすぐ立ってはくれませんし、息を吸って〜止めて〜なんてことも無理なので、こちらもスタッフ2〜3人で優しく抱えて体の向きを合わせ、犬や猫が息を吸ったり吐いたりするのに合わせて撮影を行います。
超音波検査
レントゲン検査が腹部や胸部の全体的な形・臓器の位置を捉える検査なのと比べて、超音波検査はそれぞれの臓器の内部構造を確認するのに非常に有用です。ただしレントゲンがカメラで写真を撮るように一瞬で広範囲を見ることができるのと違い、一つ一つの臓器を時間をかけて端から端まで見るような検査になるためきちんと検査をするには時間がかかります。また体に直接機械の先端を当てて検査するために犬や猫では被毛が邪魔になってしまうたうめ、検査を行う上腹部は毛を刈る必要があります。当院では全身麻酔前の検査の一つとして超音波検査を行う場合は2時間程度のお預かりをさせていただき、時間をかけてきちんと体の隅々まで検査を行うようにしています。
超音波検査もレントゲン検査と同様じっとしていないとなかなかきちんと見ることができません。この検査の場合もスタッフが2人で犬や猫を寝かし、声をかけたり撫でたりしながらできるだけリラックスした状態で検査を行います。じっとしているのが苦手な子では休憩を挟みながら何度かに分けて検査を行う場合もあります。
尿検査
泌尿器系の評価をするにあたっては尿検査は欠かせない検査です。簡単に検査するにはご自宅で採尿してお持ちいただくことでも可能ですし、きちんと検査するためには膀胱内にある尿を採尿して検査を行います。
若い犬や猫で不妊手術や口腔内のケアなど、体調に特に問題がない場合の全身麻酔に際しては、身体検査と血液検査、胸腔内のレントゲン写真(3枚)でおおよそ2万円ほどの検査費用がかかります。その代わり「健康そうに見える」のではなく「きちんと健康」であることを確認することができ、万が一の麻酔のリスクを極力減らすことができます。