犬や猫の診察をしていると、全身麻酔という行為はどうしても必要な処置です。
人間なら「ちょっと我慢してね」ということや、局所麻酔でする様な処置にしても、動かずじっとしていることが難しいからです。
うちの子おとなしいから…と思う方もいらっしゃると思いますが、じっと寝ているだけでも難しいのに、普段慣れない場所で、慣れないことをされるのにじっとしていることは難しいです。
抑えていたらできるんじゃないの?と思われるかもしれませんが、怖いことや痛いことをするのに押さえつけて無理やりする方がひどくないでしょうか。
以前は「麻酔をすると寿命が縮む」とか、「何度も麻酔をするのは危険」と漠然と思っている方が多かった様に思います。最近はそれよりも、「SNSの知り合いの犬は麻酔で死んだ」とか、インターネットの記事で麻酔はやめた方がいいと書いてあった」なんて相談をたまに受けます。
何でもかんでも麻酔をかける必要はもちろんありませんが、例えば適切な処置で痛みを取ってあげたり、寿命を延ばしてあげたりできるのに、全身麻酔ができないからやってあげられないというのはとても残念です。
麻酔にはデメリットもありますが、その大きさはその子その子で違いますし、デメリットを上回るメリットもあります。きちんとその評価をした上で全身麻酔の実施を冷静に考える様にしましょう。