蒸し暑いこの季節、皮膚の弱い犬には辛い季節ですね。
この季節は皮膚炎や外耳炎が増え、元々そうした疾患に罹りやすい子は悪化してしまいます。痒み止めを投与していても、この季節は薬の効果がないように感じることもあります。
痒み止めの投与をしていてもかゆい場合、そのまま漫然と痒み止めを投与しても改善が期待できない場合がほとんどです。悪化している原因があるからです。その原因を突き止めるには、皮膚の診察・検査をきちんと行い、皮膚の表面で起こっている異常を見逃さないようにすることが必要です。
この季節、シーズー犬やフレンチブルドッグでよく見られる「マラセチア」。
病院で「カビ」とか「真菌」と説明されている場合もマラセチアのことが多いです(実際にはちょっと違うのですが)。
顕微鏡で見ると特徴的な形をしているので、比較的見つけやすい病原体です。
このマラセチア、正常でも犬の体の表面にいますが、こんなに大量に塊で出ることはありません。
マラセチアは犬の皮脂が好きで、ジメジメ暑い季節、指の間や耳の中、鼻の皺などで増えます。増えると皮膚の赤みや腫れを起こし、さらに温度と湿度を上げてマラセチアが増えやすい環境を作る・・・と言われています。
同時に強い痒みを起こします。このかゆみには直接的な皮膚への影響のほか、マラセチアに対するアレルギー症状も関連していると言われています。
マラセチアは常在菌で犬の皮膚の表面には普段からいるものです。
ただ、普通上の写真のように一つの画面にいくつも出ることはなく、探してようやくポツンといる程度です。
ただ、普段からいるものなので「完全に体から排除する」ことができません。
また、いわゆる「細菌」ではないため、抗菌薬の投与が効きません。
きちんと発見して、適切に対応をしないと、結局いつまでもかゆい・・・ということが起こります。
かゆいのは本人(犬)はもちろん、見ている家族も辛いですから、早くなんとかしてあげたいものですね。