小型犬や柴犬などでは、アレルギー性皮膚炎やアトピー性皮膚炎が近年非常に増えています。柴犬は外飼いでは何ともなかったのに、室内で飼うようになってからアトピー性皮膚炎が増えた犬種として有名です。
皮膚がかゆい犬では、まず大切な事はいつからどのようにどこがどのくらいかゆいのか、その痒みを知ることからです。若い頃からなのか、高齢になってからなのかで病気が変わってきます。
また、見た目の皮膚に異常があるのか、ないのかといったことも問題になります。
当院ではまず皮膚の感染症がないかどうかを確認します。皮膚の感染症といっても、特別な病原体が原因のことは少なく、皮膚側の問題で本来皮膚では問題を起こさない常在菌が増えて問題を起こしてしまっているものが多いです。感染症が存在する場合は、まずそれを適切に治療することが必要です。
また、感染症が存在する場合は感染症が存在する理由が他にある場合があります。それを考えて治療する必要があります。
シャンプーで洗っているけど、きちんとした洗い方を教えてもらったことがないと言う方も結構いらっしゃいます。また動物用のシャンプーには原材料が不明なものも多く安全性に不安があります。洗い落とすためのシャンプーと被毛に付着して保湿するためのリンスが一緒になっている商品も多く、てがるそうだからと使っているご家庭も結構ありそうです。そのあたりが「洗っているんだけど皮膚の状態が改善しない」理由ではないかと思います。
原因としてアレルギーが疑われる場合には、アレルギー検査を行う場合もあります。動物病院経由で血液を使って行うアレルギー検査は信頼性がありますが、そうではないものもありますのでご注意ください(最近は毛を送るだけで・便を送るだけで・・・〜が分かる・・・みたいなお手軽だけど検査結果にきちんとした根拠が乏しいネット上の情報が多くて困ったものです)。
こうした検査を利用して、適切に利用して、結果をきちんと利用することで、アレルギー性皮膚炎なのかどうかの判断をすることが可能です。またアレルゲンがわかると対処法が考えられます。
食物アレルギーも比較的多いと言われていますが、これについてはアレルギー検査だけでははっきりさせることが難しく、除去食試験と言う少し時間のかかる検査をする必要があります。それでもきちんとやることで、食べ物を気をつけなければいけないのかどうか、この先おやつをあげることができるかどうかを決められる(家族にとっては)非常に大切な検査です。
こうしたいろいろなことを組み合わせて、体の痒みに対してアプローチをしていきます。からだがかゆいのって、人間のイライラがしますよね?犬や猫でも同じだと思います。でもなかなかそれって人が伝わらないんです。相当かゆいんじゃないかなと思われる子でも、家では気づいてもらっていないことも結構あります。
皮膚の様子に違和感があったり、皮膚を掻いているような行動が多い場合は注意が必要です。ひどくなる前にぜひ当院へご相談ください。