血圧が大切な検査の一つであることは人間では一般的ですが、犬や猫ではあまり一般的ではありませんでした。
人間と違って「血圧をきちんと測る」ということが難しいためです。まずじっとしないし、手や足は細いことが多いし、何かしようとすると緊張したり興奮したりするし・・・ということで、きちんとデータをそろえて、血圧管理が健康管理に大切かどうかを確認することも難しかったわけです。
また、昔は犬・猫の寿命は10年に満たなかった時代もあり、高血圧な状態であってもそのせいで寿命が縮んだり、問題が起きたりすることは少なかったということもあると思われます（そもそも何か問題が起こってもそれが高血圧によるものかどうかも分からなかった可能性もあります）。
近年犬や猫の寿命が伸び、それに伴って様々な病気が起こることがわかってきました。また犬や猫の血圧計が動物病院レベルでは比較的一般的になってきて図ることができるようになってくると、高血圧症が人間と同様全身のあちこちに問題を起こすことがわかってきました。
目とか
脳とか
腎臓とか
心臓とか
そのほか、それこそ全身に影響するのです。
当院でも、健康管理の一環として誕生日の健診を実施する子には血圧測定を行っています。健康な時のその子の血圧を知っておくことはその子の一生においてとても有意義です。
また、高齢になったり、何らかの疾患が疑われる時にも必要に応じて血圧を測定します。血圧が高ければその原因を調べたり治療を考えたりします。
血圧測定のネックは人間と違い時間がかかること。病院で興奮が落ち着くまで少し待って、何度か測定してきちんとした結果が出るかを検証して・・・ということをするとどうしても時間がかかります。また出た結果が信用できるかどうかの評価も必要になります。場合によっては日を跨いで何度か測定していつも同じような数値なのかを確認することもあります。
そのうち人間のように自宅で手軽に犬や猫の血圧測定ができるようになるといいのですが、まだ簡単にはいかなそうです。